ミニ・ブックフェアの提案(2009年7月6日)

東国原知事の発言から、突如として「地方の反乱」が始まっています。
そしてその根底にあるのは、明治国家以来の官僚主導・中央集権国家批判のようです。
でも、何でも歴史から考える私は、そもそも何で日本はこんな官僚主導の国になったのか、
という根本の原因とこれまでの過程を知らないと何も変革できないんじゃないかと思うわけです。
そこで、それを読者の皆さんに考えてもらえるようなブックフェアができないものかと勝手に考えました。
書店員の皆さん! もし賛同いただけるなら、こういったフェアをやっていただけないでしょうか。
ただ、フェアの提案なんていうことをやったことがないので、常識はずれなのかもしれませんし、
こんなフェア、役に立たない、商売にならないということになるのかもしれません。
もしそうであれば、率直なご意見をいただければ有り難いです。
逆に、どんどんこういう事を考えてみろ、という事でしたら、今後も調子に乗って提案していきたいと思います。
なお、事典・資料集を除き、ほとんど私自身が読んだことがある本です。


ミニ・ブックフェア「官僚国家・日本の履歴書」のご提案

(コンセプト)
日本は、どのようにして官僚支配の国になったのか?
官僚とは本当に「悪」なのか?
総選挙が迫っている中、霞ヶ関支配を批判するのは結構なのですが、そもそもなぜこうなったのかを考えることが
変革への第一歩なのではないでしょうか。
有志舎は、読者の皆さんにこの事を真剣に考えていただきたいと思い、ミニブックフェア「官僚国家・日本の履歴書」を提案致します。
全国の書店の皆さん、ご検討いただければ有り難いです。
ただし、以下の書目案は永滝のお薦めですが、別の言い方をすると「独断と偏見」によるものですので
その辺はお許し下さい。


(フェアの書目案)
※左から、書名 著者 出版社 本体価格 の順です。

官僚制 マックス・ウェーバー 恒星社厚生閣、1200円(税別、以下同)
 そもそも官僚制とは何なのか?原点を考える一冊。

法制官僚の時代−国家の設計と知の歴程 山室信一 木鐸社、5000円
 明治初年、近代国家を設計するという志を掲げた若き官僚たちの姿を描く。

明治維新を考える 三谷博 有志舎、2800円
 近代官僚国家・日本を誕生させた明治維新はなぜ起きたのかという謎に挑む。

維新政権 松尾正人 吉川弘文館、2900円
 王政復古によって誕生したヨチヨチ歩きの「日本」が、廃藩置県によって中央集権国家に生まれ変わるまでを描く。
 「地方分権」を言い立てる前に、まずどうやって現在の日本が出来たのか知らないとダメでしょう。
 
渋沢栄一(評伝・日本の経済思想) 見城悌治 日本経済評論社、2500円
 渋沢というと実業家というイメージが強いが、彼は元々は官僚であった。
 社会貢献の理念を掲げた「日本資本主義の父」の実像を知ってほしい。

伊藤博文と明治国家形成−「宮中」の制度化と立憲制の導入 坂本一登 吉川弘文館、5437円
 近代日本国家を支える宮中と立憲体制はどのように創られたのか。
 官僚制・天皇制・立憲制の交錯のなか、明治国家の誕生を描く。サントリー学芸賞受賞作。

日本憲政史 坂野潤治 東京大学出版会、3500円
 幕末から昭和初期まで、近代日本政治の歩みを斬新な視点で描ききり、政治家・官僚の政治力に迫る。
 近代日本政治史の入門書として最適。

憲政の常道 小路田泰直 青木書店、2200円
 政権交代があった戦前日本で、官僚と政党との関係はどのようなものだったのか。

帝国日本と総力戦体制−戦前・戦後の連続とアジア 小林英夫 有志舎発行・吉川弘文館発売、2300円
 昭和初期の日本に現れた革新官僚たちは総力戦体制を創造し、太平洋戦争へと突っ走っていった。
 そして敗戦後、彼らは復活し高度成長政策を推進した。戦時と戦後の連続性を明らかにする。

満州と自民党 小林英夫 新潮新書、680円
 満州国という強大な統制国家に集結した革新官僚たち。彼らこそ戦後日本政治の源流だった。

大学という病−東大紛擾と大学群像 竹内洋 中公文庫、933円
 戦前の東京帝国大学という巨大な教育機構のドロドロとした権力闘争を描ききる。
 日本の高等教育を牛耳った超エリート集団の実態。

岸信介−権勢の政治家 原彬久 岩波新書、780円
 戦前の革新官僚から戦後は総理大臣へ。「妖怪」と呼ばれた政治家・岸信介の生涯を通して描く、
 官僚国家・日本の昭和史。

内閣政治と「大蔵省支配」−政治主導の条件 牧原出 中公叢書、1900円 
 官僚主導の政治体制はいかにして誕生したのか。戦後日本の政治と官僚の関係を真正面から分析。
 サントリー学芸賞受賞作。

ハンセン病 反省なき国家−『「いのち」の近代史』以後 藤野豊 かもがわ出版、2300円
 ハンセン病患者に対して非人間的な隔離と断種政策を行ってきた近現代日本国家と厚生省(厚労省)。
 彼らが責任回避にやっきになるのはなぜなのか。

情と理 カミソリ参謀回顧録 上・下 講談社+α文庫、後藤田正晴、各838円
 内務・警察官僚として権力の恐ろしさを身を以て知り、のちに中曽根内閣で官房長官となった
 硬骨漢・後藤田正晴の回顧録。今、自民党内にこういうリベラル派は少なくなった。

官僚たちの夏 城山三郎 新潮文庫、552円
 実話を元にした名作小説。私利私欲を排し、奮闘する真の官僚とは何かを考えさせる。
 「天下り」官僚にぜひ読んでもらいたい。TBSでドラマ化され現在放送中。

※事典・資料集など
日本官僚制総合事典 秦郁彦編 東京大学出版会、32000円
佐藤榮作日記 全6巻(第4巻だけ品切れ?) 伊藤隆監修 朝日新聞出版、5900円